2017年10月16日
★イチョウは生きた化石②★
(銀杏栽培-富士市次郎長町…2011年11月24日)
稲垣栄洋(ひでひろ)・著『日本人の暮らしと身近な植物』
から、「イチョウ並木の青春時代」
より。2回目。
イチョウがこの地にデビューしたのは、古生代。その頃植物の主役はシダ植物。巨大なシダ植物が、深い森を作っていた。が、範囲が限られていた。
(巨大なシダ植物…ネットより)
シダは、前葉体(シダ植物の胞子が、発芽して形成される植物体)で、精子と卵子が作られ、精子が水の中を泳いで卵子に到達し、受精する。その為水が不可欠で、水辺から離れる事が出来なかった。
(ユーチューブ。シダ植物の受精…詳しくはこちらで)
イチョウは、乾いた陸地への進出を可能にした。イチョウは、実の中にプールを用意して、精子を泳がせて受精することに成功し(人間と同じシステム)、広大な森を形成した。
(イチョウ…次郎長町にて…2010年11月27日)
中生代、イチョウは全盛期を迎えるが、当時画期的だった生殖システムも、現在では古くさい過去のものになった。化石に見られる、イチョウの仲間は17属あったが、生き残ったのは、イチョウ一種のみだ。
イチョウは街路樹としてよく見かける。これは、公害に強く、燃えにくい理由の他に、病気や害虫がつきにくい為である。
(昭和記念公園のイチョウ…ネットより)
イチョウが、虫や病気がつかないのは、虫や病気に対抗する有毒成分を、持っているからである。仲間が滅び行く中で、イチョウが生き残ったのは、毒を持ったからであろうか。
いくつもの時代を生き抜いたイチョウ。謎を秘めながら、葉は静かに散りゆく。
おわり。
Anastasia- At The Beginning By Richard Marx and Donna Lewis